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『Act』30号にあたって

/瀬戸 宏(国際演劇評論家協会日本センター関西支部長)

 

 AICT国際演劇評論家協会日本センター関西支部機関誌(劇評誌)『ACT』は、2004年の創刊以来、一時的な休刊を挟みつつ刊行が続けられ、ついに30号に達しました。30号という巻数を思うと、創刊に関わった者としては感無量の思いがあります。時間としては17年です。
 この17年間、関西演劇界は、また日本演劇界全体も、様々な困難がありました。関西演劇界に限っても、橋下府政の誕生による劇場閉鎖、文楽の危機などがありました。2020年以来のコロナ禍による上演困難も、関西演劇界に重苦しい雰囲気をもたらしています。30号発行を準備する中で、関西演劇の振興に大きな役割を果たし、東京など他地区劇団の関西公演拠点でもあったアイホールが、閉鎖の危機に直面していることが明らかになりました。そのため30号では、アイホール問題について関西支部だけでなく全国から原稿を募り、「アイホール(伊丹市立演劇ホール)の用途再検討という問題について」と題する特集を組み、長短さまざまの7本の原稿が集まりました。原稿の趣旨は様々ですが、いずれもアイホールの閉鎖危機を憂え、その存続を願っている点では共通しています。読者の皆様がこの問題を考え、行動する参考にしていただければ、と念じています。
 『ACT』は30号を迎えましたが、まだまだ発展途上です。これからも、会員、読者の皆様のご支援を、切にお願い申しあげます。

【編集後記】

コロナ禍は既に1年半に及び、活動の制限と解除を繰り返しながら舞台芸術が生き延びる方途を探り続ける日々が続く。公演数も限られる中、書き上げられた本号の批評は貴重な舞台の記録でありアーカイブといえる。(竹田)

なかなか観劇サイクルは戻りませんが、それでも久々に劇場に行くと自分の体調がよくなっていることがあります。観劇の頻度は減っていますが、身体に染み付いた観劇スタイルはコロナ以前と変わらないのかもしれません。相変わらず観劇をめぐる状況は厳しいですが、そのような中、劇評を投稿いただいた皆さまにお礼申し上げます。(須川)

前号からずいぶん月日が経ってしまいました。ほぼ私の怠惰、放置によるものです。早々に原稿をいただいていた筆者の方には、申し訳なく思っています。
黒雲が低く垂れこめているような日々が1年半以上続いていますが、時折接する舞台は、本当に一筋の光のようです。その一筋を反射させて、もっと多くの人の元に届けるための言葉が不足しているように思います。ご寄稿をお待ちしています。(上念)

以前よりも、なぜこの舞台を観に行きたいのだろうかと自問することが増えましたし、観ていても以前よりも創り手の心の中が気になるようになりました。劇評を読んでいても同様で、皆が今なにを思っているのか知りたいと思う気持ちが増しています。在宅が増えて人との接触を減らしているからかもしれません。 ACT に掲載されている劇評を見ていると他者の世界に触れることができて、自分の中の餓えが少し満たされるような気がします。そんな個人的な感謝も込めて、ご投稿いただいた皆様にお礼申しあげます。(岡田)

BN
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